圧倒的睡眠欲求

この記事は人間が書いています

整理番号が8番だった

こんな幸せなことがこの世にあっていいんだろうか。
やまない耳鳴り、ちょっと汗の染みたライブTシャツ、右腕のだるさ、一部欠けてたラバーバンド、ワンドリンク制に伴ったぼったくった値段だった十六茶、手元に残る全部が夢じゃなかったって証明してくれていて、そんなことから確認しないと信じられないような、本当に何て言っていいかわからないけど、確かになにかとんでもないことが起こった。
支離滅裂になるのも許してほしい、最前列でUNISON SQUARE GARDENを見てきたんだから。
いつもは四角い機械に収まっている彼らが、数メートル先にいたんだから。

というわけで感想とも言えない、何が言いたいのかわからない駄文を書きちらかしています。


最初からずっと自然に笑顔だったし、誰にも何にも遮られずに三人を間近で見ていられることが信じられなかった。
一曲目、の直前、斎藤宏介が目を伏せたときの美しさを忘れない。
田渕は3曲目の時点で酸素不足で顔が真っ赤だった。あの運動量なら当たり前というかぶっ倒れていないのが不思議で仕方ない。夜な夜なドライブから間髪いれず喜怒哀楽だぞ!?
あと塊になった人間というのはいつでも恐怖の対象だなと思った。満員電車然り、満員御礼のライブハウス然り。
圧迫されて胃腸が縮んだ気がした。
後ろからの圧力で苦しさを感じる体が邪魔だった。
前に逃げようと自然と体がステージに近くなって、そこからさらに伸ばした腕が限界まで伸びたとき、指先がとんでもない熱気を感じた。
多分ステージを照らすスポットライトを掠めたんだと思う。夏の密室みたいだった。

僕らのその先で夕焼けのようなオレンジ色のライトに照らされて歌う斎藤宏介を見て、かみさまっているんだなと漠然と思った。
別に斎藤宏介とかUNISON SQUARE GARDENってバンドを神様として見てる訳じゃないけど、突然そう思った。
そんなことを考えるのは前の金曜ロードショーで録画していたシンゴジラを見たとき以来だった。
ちなみに僕らのその先は「改札 閉まる、乗り越し 精算してください」という歌詞ではじまる。間違っても世界平和や人類についての歌ではない。
不意に胸がいっぱいになって泣きそうになって、それは当然ながら悲しかったり悔しかったりする涙ではないけど嬉し涙というわけでもない、よくわからない涙だった。
ただそのせいでぼんやり滲んだオレンジ色と三人がただただ綺麗で、結局ちょっと泣いた。
私は絶対この先彼らに介入することはないけど、この人たちに幸いあれ、と心から思った。

最後の最後、シャンデリアワルツのイントロでどうなってもいいと思った。
肋が折れようと知ったこっちゃない、むしろ折れるなら折れてしまえ。
いやほんとに罅入ったらリタイアするし絶叫して泣きわめくけど。
でもだって、大好きなバンドの大好きな曲をライブハウスの最前列で、呼吸動作さえ見える場所で、おまけにアンコールの最後の曲として聴けるって、一体どんな確率?
生きててよかった、斎藤宏介の喉仏にできる影の形や、エフェクターを踏む仕草、よく唇を強く引いてギターを鳴らすこと、曲の合間に頬を膨らませていたこと、歌いながら時折右目を瞑るところ、こめかみに滲む汗、どれだけ楽しそうに音楽をしているか、目の当たりにできたことが狂おしく嬉しい。
彼がマイクから逸れた所で言った「ありがとう」「また会おう」が届いたことも。
陳腐な言い方しかできないけど一瞬一瞬が夢のようだった。
また会いたい。会いに行きたい。
願わくば、今日私をあそこに連れていってくれた友人と一緒に。

あと間違いなく私斎藤宏介と目が合ったし、なんならウインクもらった気がするんですよね。
目が合ったタイミングはなんとなく覚えてる、でもウインクはほんと記憶にない、なんか……中盤の曲のBメロくらいだった気がするけど自信がない、ほんとにない、頭真っ白になったから。
ということはもう疑う余地なく私に斎藤さんのウインクが直撃したという事実だけが残る。
誰にも反論させない、これは不変。以上です。